内視鏡手術用モニターを買い換えました。
Karl Storzの4Kシステムの最新モニターです。

5年前に購入したモニターStorzのTM340(米国NDS社のOEM)は画面が突然映らなくなるトラブル等がありましたが、StorzとNDS(OEM元)でやり取りしていただき修理。ひとまずトラブルは解消されていました。
しかし、、、ある日、何をしても電源が入らない。ウンともスンとも言わなくなってしまいました。どうやら電源が壊れてしまったようです。
修理には数十万円かかるし新型は日本のEIZOがOEM元という事で、思い切って最新のモニターに入れ替えました。

TM343は”EIZO EX3242”のOEM

ストルツのTM343。モニターアームに設置しました。
少々重たくなってモニターアームの調整が必要です。

tm343_info

モニター裏のインフォメーションを見てみれば、
EIZOのEX3242のOEMであることがわかります。
各国の承認を取られておりEIZOの文字だらけ。
アメリカ製でも中国製でもなく、Made in Japanとバッチリ書かれています!

入出力端子

※EIZOのホームページより転載

気になる入出力端子ですが、大好きな12G-SDIがあります。
3G-SDIが別に一つあるのはポイントが高い。
内視鏡手術のメインシステムにトラブルが起こっても、3G-SDI接続されたサブシステムにさっと切り替えられます。
その際はHD画像になりますが手術に十分な画質で手術を遂行することができます。
「安定した接続」という観点だとSDI接続が一番良いので、とてもうれしい。
他にはDVI-D, HDMI, Displayportと主要な入力が網羅されています。
HDMIは手術では使いませんがPCに接続して、プレゼンや勉強会に重宝しています。

TM340 vs. TM 343

TM340vsTM343
左:TM340(旧製品、米国NDS) 右:TM343(新製品、日本EIZO)

左が旧モニターTM340(米国NDS)、右が今回購入した新型モニターTM343(日本EIZO)
12G-SDIで数珠繋ぎしています。
残念ながらこのような並べた写真をとっても実際の画質の比較はできませんが・・・
画面に映っているのは術野ではなく、筒状にした手に内視鏡を入れてチェックしている画像です。
指紋でピントを合わしたり、全体的な立体感、奥行き感、明るさなどが簡単にチェックできます。
内視鏡を扱っている多くの医師はこうやってチェックする事が多いのでは?

パッと比較してわかる事

パッと比較して感じたのが以下。歴然とした違いを感じます。

  • 新製品は明るい
  • 画像に立体感がある
  • 色合いが自然
  • 「しっかりとした黒」が出ている
  • モニター枠(ベゼル)がスッキリ
  • 電源がonしているのが判りやすい

実際の手術での比較でも新製品の方がすべてにおいて勝っていると感じました
電源がonのLEDが、TM340は小さな青い点でわかりにくかったのですが、
TM343ではしっかりと確認できます。普通の事なのですが結構大事です。

スペック比較

TM340
(旧採用品)
TM342
旧製品)
TM343
(現行品:今回採用)
OEM元NDS(米国)
RADIANCE® ULTRA 4K
EIZO(日本)
EX3141
EIZO(日本)
EX3242
輝度 (標準値)650 cd/m²350 cd/m²EIZO公称 850 cd/
Storz公称 700 cd/m²
コントラスト比
(標準値)
1700:11500:1EIZO公称 1800:1
Storz公称 1350:1
入力端子12G-SDI x1
DVI-D x2
DisplayPort x1
HDMI x2
12G-SDI x1
3G-SDI x1
DVI-D x2
DisplayPort x1
12G-SDI x1
3G-SDI x1
DVI-D x1
DisplayPort x1
HDMI x1
出力端子SDI (BNC) x1
(12G/6G/3G/HD-SDI)
DVI-D x2
SDI 1(BNC) x1
(12G/6G/3G/HD-SDI)
SDI 2(BNC) x1
(3G/HD-SDI)
DVI-D x1
12G-SDI x1
DVI-D x1
DisplayPort x1
モニター重量約12.27kg約11.2kg約13.2 kg

公称値の違い

スペックを調べていて理解できない事項がありました。
輝度、コントラスト比の公称値がKarl StorzとEIZOで違います。
OEM製品ですので中身はEX3242ですが、Storzの要望に応えて調整はしていると思われます。
しかし輝度やコントラスト比なんぞを調整する(出来る?)とは思えない。
専門外の私にはわかりません。
ただ実際の画像を見た感じは輝度・コントラスト比ともに良くなっている印象ですが、、、謎です。
誰か教えてください。

ご興味ある方向けにカタログのダウンロードリンク貼っておきます。
Karl Storz TM343のカタログ(PDF)
EIZO EX3242のカタログ(PDF)

モニターアームで使う時はご注意を

過去の製品と比べて重たくなっています。
TM340と比べて約1kg重くなりました。
少し前の中身EIZOのTM342と比べると約2kg増えています。
それほど変わらないじゃないか?と思われるかもしれません。
モニターアームで使っていても重量の違いが気になることは全くありません。

しかしモニターアームへの設置の際には問題が出てきます。
金子耳鼻咽喉科のモニターアーム(山田照明)はかなり重量があっても、調整で十分に対応可能ですが
別会社のアームの種類によっては重量に耐えられない事があります。
モニターアームを使っている施設は事前に注意が必要です。

まとめ

5年前ブログ「内視鏡手術モニターをケチるべからず」でTM340(NDS)とTM341(EIZO)の比較しましたが、その時はTM340が圧倒的に良いと感じました。
TM340の画質も優秀ですので、画質にうるさい術者の要求を満たすと思います。
しかしながら、今回比較してみると最新のモニターTM343(EIZO: EX3242)に軍配が上がります。
完全に逆転して、さすが世界のEIZOだなと。
今回自信をもって日本の製品を導入出来て、とても満足です。

  • Karl Storzのモニターでは最新型のTM343の画質が最強です。
  • 入力端子は主要なものを全て網羅しています。
  • モニターアームを使う方は重量に注意です。

院長 金子敏彦(かねこ としひこ)