先日、外来で「ブログ見てます。更新してください!」と応援いただきました。
思いつくままに書いている私のブログですが、応援ありがとうございます。
頑張ります。
さて前回は硬性内視鏡0度(直視鏡)の持ち方を話題にしました。
今回は硬性内視鏡70度(斜視鏡)の話をしてみます。
内視鏡下副鼻腔手術は「鼻の穴」から内視鏡や器具を挿入して行います。
0度(直視鏡)のレンズは広角で側方もそこそこ見えますが、死角をなくすためには直視鏡だけでは不十分です。
その為、斜視鏡という側方を見る硬性内視鏡が用いられます。
いろいろな角度の斜視鏡があり術者によって考え方や好みが違います。
私は鼻副鼻腔内視鏡手術では0度と70度の2種類を使います。
120度というマニアックな硬性内視鏡も持っていますが、本当に特殊なケースで使うだけです(開院以来1回だけ使ったことがあります)。
0度を70度の2種類を基本にしている理由は、大学病院勤務時代に使える内視鏡が0度と70度だったのが影響しています。
30度や45度等も病院にあったと思いますが、使い込まれすぎてレンズが曇っており手術には使えない状態だったと記憶しています。
手術室にあるもので何とかするのが術者の心意気(?)ですので、0度と70度でやっているうちにその2本使いになりました。
70度を使う主な場所
上を見る時(前頭洞・篩骨洞天蓋)
CTで見たらこの位置が前頭洞。上の方にあるので直視鏡(0度)では見るのは難しい。
篩骨洞天蓋の処理にも斜視鏡は欠かせない。
70度斜視鏡で上の方を見て手術をします。
横を見る時(上顎洞・眼窩紙様板)
斜視鏡で側方をみて、上顎洞や眼窩紙様板(篩骨洞の外側)を処理します。
篩骨洞を丁寧に扱う為には斜視鏡は欠かせません。
上顎洞を開放後、内視鏡をさらに回転させると上顎洞の底の方を見ることができます。
70度斜視鏡の持ち方(上方を見る時)
私の基本の持ち方2種類
手術中はどんな感じで70度斜視鏡を持っているのか、ふとした時に何度か見てみましたが大まかに2パターンありました。
術野の上方を見る時は、主に左側のように持っていることが多いです。
直視鏡と同じく握りこまず、かなり軽く持っています。
局面によっては右の写真のように上の方を持つ(ヘッドを持つ)ことも多かったです。
この写真よりもっと上(ヘッド方向)を持っていることもありました。
鉗子操作で小指・薬指あたりが邪魔に感じる時に上の方を持っていることが多いようです(無意識です)。
鉗子を持ったらこんな感じ
先ほどの2種類の持ち方を手術中のイメージで撮影してみました。
主に写真の左側は鉗子操作のスペースに余裕がある時。
斜視鏡と鉗子が近くになると指が邪魔になり、ヘッド寄りに持つ場所が変わります(写真右)。
実際の手術中はもっとバリエーションがあると思いますが、大体このようなイメージかと。
前頭洞を触る時の内視鏡の位置は?
こちらは「教科書的な」前頭洞を触る時の鉗子と内視鏡の位置です。
上に鉗子(0時)、下に内視鏡です(6時)。メリットは鉗子の後方の操作が見やすい事かな。
実は私、このポジションでやることは少ないです。
ここでは鉗子に前頭洞パンチを使ってます。
私はこちらの方のポジションで手術をする事が多いと思います。
鼻の穴の左側(9時)に内視鏡、右側から鉗子(3時)を挿入します。
こちらの方が鉗子は入れやすいと思います。慣れかな?
この位置に固定するいう事ではなく「視野が得やすい・手術操作がしやすい」位置に移動していると思います。
どのくらい動いているかは手術に集中していてわかりません。今度ビデオ撮影でもしてみます。
この横ポジションが基本で、必要な時に教科書的な(下に内視鏡、上に鉗子)位置を使う感じです。
皆さんはどうなんでしょうか?
ヘッドは少し回しています
硬性内視鏡の右側で鉗子操作をする為、硬性内視鏡から飛び出している光源接続部は結構邪魔です。
多くの術者がしている(と思う)のですが、ヘッドは少し光源接続部に対して反時計回りに装着しています(硬性内視鏡を時計回りという方がよいかな?)
あまり意識せず何時もやっているように硬性内視鏡をヘッドにパッとつけて、角度を測ってみたら約10度でした。
この辺は感覚なので、70度斜視鏡を使い始めは大体このくらいの角度で始めているのだと思います。
内視鏡ヘッドは初めの角度で固定するのではなく、術中時々少し回転させて調整したりします。
側方を見る時の持ち方
側方(左右上顎洞、篩骨洞の外側)でも頻用します。
側方を見る時はライトガイドが横に来るので、直視鏡(0度内視鏡)の時と基本的には同じ持ち方です。
以上いかがでしたでしょうか。
実際の手術ではもっとバリエーションはありますが、私の持ちかたを大雑把にまとめてみました。
皆様の持ち方教えてください。
院長 金子敏彦(かねこ としひこ)