年末にお掃除をしていたら昔のノートが出てきました。
20年前、医師になりたてホヤホヤの頃のお勉強のノートです。

先輩の手術を見ながら一言一句聞き逃すまいと耳をそばだて、必死でノートを取っていた事を思い出します。
このノートでは鼻副鼻腔内視鏡手術ESS(Endoscopic Sinus Surgery)の手術を勉強しています。
どの局面でどのような道具を使っているのか。詳細に記録しています。
20年前は鼻副鼻腔の内視鏡手術が爆発的に普及してきた時期です。
鼻副鼻腔内視鏡手術の進歩を肌で感じながら、臨床経験を積んで来られたのは幸せだったと思います。

20年前は今とは研修医制度が違います。
医師免許を取得したら、まず医局に入局。
朝から晩まで仕事。土日祝日全くなしのスパルタ方式でした
参考;医師臨床研修医制度の変遷
特に医師1年目は睡眠時間を削って、がむしゃらに技術や知識を吸収しようと頑張っていたことを思い出します。
今は、時間外勤務はダメだとか色々うるさい世の中になってきています。
「昔は良かった」などと言う気は全くありませんが、一生懸命頑張ったのは私自身にとっては良かったと思います。

専門的すぎる話ですが、翼口蓋窩の解剖を勉強したノートもありました。
頭蓋骨標本と解剖の本を見ながら書いていました。
標本の穴に糸を通したりして、自分なりに理解した時の事はまだ覚えています。

当時は医師1年目ですので頭の中で理解していただけですが、苦労して覚えたことは中々忘れません。
その知識は金子耳鼻咽喉科で良く行う手術である、鼻炎に対する翼突管神経切除術レーザー手術に結果的に繋がっています。
奥の解剖をイメージしながら麻酔したり、手術する事はクオリティーにそのまま関わります。
外来での診断、治療、手術など全てにその医師の知識・経験は影響します。
小さな事の積み重ねによって、「専門医制度」の専門医ではない、真の専門性が培われるのだと思います。

ノートを見て「はっ」と初心にかえりました。
若き日の睡眠時間を削ってのお勉強は、しんどかったけれども面白くて、興味津々。
その頃の思いを忘れていないかな?
医療の進歩は恐ろしく早いので油断大敵。お勉強をせねばすぐ取り残されます。
「初心忘るべからず」
平成30年が始まりました。今年も新たな気持で頑張ります!

院長 金子敏彦(かねこ としひこ)