ずっと廃番だった鉗子が再度発売されました。
いったい何年廃番だったんでしょうか、、、20年位?
その名も「西端氏小鋭匙鉗子強弯右開・左開」
TM松井」がいい仕事してくれました。

nishihata2

金子耳鼻科で使っている、西端氏小鋭匙鉗子強弯3種類。
左:強弯右開(KA2N08)、中:強弯(KA2N01)、左強弯左開(KA2N07)
今回発売されたのは、右開と左開。

tips
左:強弯右開(KA2N08)、中:強弯(KA2N01)、左強弯左開(KA2N07)

カップ状の先端を持つ鋭匙鉗子。先端を拡大。
左右の鉗子は横に開き、(皆様お持ちの?)真ん中の通常の強弯は手前に開きます。
「直(KA2N03)」や「弱弯(KA2N02)」の鋭匙鉗子は組織をつまんで取ったり、病的粘膜を剥がしたり、小さな骨片を取り除いたり。様々な局面で使います。
この思いっきりグイっと曲がった「強弯」3種は主に前頭洞(額の副鼻腔)付近を触る時に使います。
私のやり方では、特に前頭洞方向へのアプローチの際、鈎状突起の処理に欠かせない鉗子の一つです。
ちょっと、専門的すぎるので、解説を試みてみます。

frontal sinus approach

このCTでいうと、前頭洞を開放していく途中、垂直に上から降りてくる骨粘膜の「板」(矢印)を取るときに使います。
鼻腔の上の方にあるので、内視鏡は70度を使用して、下から見上げて処理する必要があります。
というわけで下からグイっと大きく曲がった鉗子が必要です。

uncinate process

uncinate process2

70度斜視鏡で下から見上げています(左鼻)
写真左:鈎状突起の下の部分は既に取り去られています。
この垂直に残している「板」を取りたいわけです。
通常の強弯は、鉗子を開くと手前に開きます。
ですので、鉗子をちょこっと横に傾けて「板」を挟んで取り除きます。
ややテクニカルな手技です。
写真右:横開きだと、鉗子を鼻腔内に挿入し、そのまま特別な工夫なく「板」をつかめます。
とても楽です!

nishihata3

この横開きを実現したポイントは、このネジリの技術
職人技です。
海外の鉗子では、なかなかこれができません。
横には開いても、力が伝わらずうまく「板」が取れなかったりします。
日本の職人技。本当に素晴らしい。
この調子でどんどん良い鉗子作ってください!

全てのESSサージャーにお勧めいたします。

院長 金子敏彦(かねこ としひこ)