昨年末から新製品の内視鏡手術用のビデオカメラを導入しています。
当院が西日本で納品第1号らしいです。
過去に色々な製品を使ってきた経験から言うと、現時点でベストな選択肢なのではないかと思っています。
ニスコ社のNiscam7500です。
上;購入したカメラコントローラー ニスコ Niscam7500
下;キセノン光源 Storz Xenon 300
右に横たわっている黒いのが購入したカメラヘッド CH-75HDです。
硬性内視鏡、本体、光源と繋げています。
左の黒い部分がカメラヘッドです。
鼻副鼻腔の内視鏡手術はこのような感じで(わかりくい?)で行います。
左手に内視鏡、右手に鉗子です。
全て「鼻の穴」から行います。では特徴を検証しましょう。
コンパクト
まずカメラヘッドが軽いです。150gです。じゃがいも1個分くらいですね。
他社のハイビジョン製品は250gを超える製品が多いので、圧倒的に軽量です。
1-3時間程の手術の間、ずっと手に持って使うので重いと疲れます。100gの差は決して無視できません。
カメラコントローラーも他社製品に比べて約2/3でコンパクトです。
設置場所に困りません。これもポイントが高いです。
高品質、リーズナブル
3CMOSハイビジョンです。
3チップなので発色が自然です。
医療機器なので安いわけではありませんが、他社製品の1/3位の価格設定でリーズナブルです。
最近、オリンパスから4Kの製品やストルツから3Dの製品も出てきています。
技術革新は大好きですし大歓迎ですが、実際の医療現場で重要な事はバランスだと思います。
4Kの製品は当然ながら凄くキレイです。
4Kにしては頑張っていると思いますが、まだカメラヘッドが重いです(280g)。
将来コンパクトになれば導入したいです。
3Dは、、、映画と同じく(?)馴染めません。
メリットを感じないばかりか、「情報過多で疲れる」というデメリットばかり感じます。
映像出力端子が逸品
映像出力はHD-SDI×2、DVI、VBS(SD画像のBNC)、 Y/C(SD画像、いわゆるS端子)です。
ハイビジョン画質はインターレース(1080i)出力が可能です。
1080pしか出力できない機器が存在します。1080i出力が出来ると汎用性が一気に上がります。
標準画像(SD)出力端子はY/CとBNCが用意されています。
Y/CとBNCの画質の差を論じる気は今回はありません。
ともかく「ハイビジョンは綺麗だが、標準画像がダメ」という機器もよくある中、この製品の標準画像は超優秀です。
内部の回路がどうなっているかは知りませんが、画像のダウンコンバートが優秀なのでしょうか。
標準画像でも以前の機材と比べて明らかな画質の差があります。
ハイビジョン時代に何故これが重要かというと、既存の機器を活かすことが出来るからです。
機材を全部入れ替えるのは大変です。
重要なところだけハイビジョン化して、手術の質を上げることが出来ます。
私は手術用モニターにHD-SDI, スタッフ用モニターにVBS、録画システムにVBS+DVI(症例によって使い分け)と使っています。まだ余裕ですね!
ベストな光源は?
Niscam7500になって今まで使っていた光源の限界を感じました。
そこで、”15V150W ハロゲン”、”300W LED”, “75W キセノン”, “300W キセノン”、色々試してみました。
ちょっとパワフルすぎますが300Wキセノンがベストだと思います。
出力を上げすぎると持つところが熱くなります。
LED光源は「手前がまぶしく、遠くが暗い」というLED光源自体の宿命があるようです。
遠くが暗いと術野の全体像がつかみにくく、私の要望には答えてくれません。
これからに期待していますが、LED光源はまだまだ改善が必要と感じます。
どれほど高解像度なのか?
さてどれほど高画質なのでしょうか。
この溝の正体は、、、
答えは、レコードの音溝です。
このウネウネした溝から針が音を拾うわけですね。
レコードの音溝を自分で見られる時がくるとは!少し感動しました。
ベテランになると音溝を見ただけで音楽が聞こえてきます(冗談です)。
それはさておき、手術の際にどれほど細かいところを見て操作しているのかお分かりいただけるかと思います。
こんな動画がありました。もっと音溝が見られます。どんどん手術の話題から外れてきますのでこれくらいにしておきましょう。
院長 金子敏彦(かねこ としひこ)