先日、手術支援ロボットiArmSが関西に今あるので、一回見てみませんか?と、話がありました。
学会・研究会では見たことがありますが、実際の試したことはあまりなかったので金子耳鼻咽喉科でデモしてみました。
けっこう前からある機械ですが、現在、東朋テクノロジー(株)が技術を引き継いでコンパクト化、低価格化に成功して販売されています。

「動く」「止まる」「意のままに」

iarms
東朋テクノロジーのホームページより

顕微鏡や内視鏡を用いる術野を拡大する手術では、手がブレるとうまくいきません。
手術の初心者は力が入りすぎて術野や鉗子の先がブレたりします。
ベテランになると無駄な力を使わなかったり、体のどこかで支点を作ったりと、自然にブレないようになってくるものです。皆様どうでしょうか?

理由はともかく術野や鉗子の先がブルブルしてはお話になりませんが、それをそっとサポートしてくれるのがこのiArmSです。

メーカーの情報によると「人の力だけで動く〔モーターレス〕構造を採用。動作はモーターを使わず、重力バランスと腕の動きによって行い、微細な腕の動きに追随できる構造となっております。」という事です。なかなか面白い仕組みです。

内視鏡の持ち手(左手)に使います

内視鏡手術は左手に内視鏡、右手に鉗子類を持って行うのが基本です。
金子耳鼻咽喉科では手術予定時間は長くて3時間半程度です。
私は左肘を肘置きにおいて手術をしています。

内視鏡が左手 右手に鉗子

鉗子操作をする右手ではなく、内視鏡を持つ左手の前腕をiArmSに置いて安定させます。
ちょいっと押すとアームが自在に動いて、手を止めるとカッチッと固定されます。
少々コツは必要ですがなれれば使いこなせそうです。

手術は力を抜きましょう

先日、知人耳鼻科医と食事をしていた時、内視鏡手術では体力を使って汗びっしょりになると言われました。
私自身は内視鏡手術で汗をかいた事がなく、その感覚が全く分かりません。
手術で体力を使って汗をかくならば、どこかで余計な力を使っているのだと思います。
もしかして鉗子操作をする右手ではなく、内視鏡を持つ左手の使い方ではないだろうか?
と、ふと思いました。
そういう視点で見た場合、このような手を固定する機械は面白いかもしれません。

他、医者は人間で機械ではありませんので、年齢による手のトラブルはつきものです。
私自身も3年ほど前、右上腕骨外側上顆炎、右肩関節周囲炎になり一時期痛みに悩まされました。
そういった際のサポート機器しても有効かもしれません。

ちょっとした雑感でした。
私は汗をかかないので(!?)不要ですが、ご興味ある方は問い合わせて見られては如何でしょうか?
以上、デモした報告とさせていただきます。

院長 金子敏彦(かねこ としひこ)