鼻副鼻腔内視鏡手術の術者に朗報でございます。
長らく使い勝手の悪い細截除鉗子しか手に入れることができませんでしたが、
使い勝手バッチリの細截除鉗子が発売されます!
ここ数年、大手医療機器メーカーの下請けで鉗子を作られていた会社が独立して鉗子を作ろうという動きが活発になってきています。
日本製の手術鉗子は世界最高の道具だったのですが、近年、その質が悪くなったと嘆きの声が多く上がっておりました。
「鉗子職人が亡くなってしまった」「若い職人がいない」と私は聞いてきました。
どうやらそれは違うという事が最近わかってきました。
たしかに職人不足かもしれないが、不在というわけではなかったのです。
埼玉県の須田医科器械製作所から「良い鉗子を作るアイデアはないか?」と連絡がありました。
金子耳鼻咽喉科にわざわざお越しいただき、使いやすい鉗子と、使いにくい鉗子の違いは一体どこが原因になっているのか?もっと良い鉗子を作るにはどうしたら良いか?
一緒に検討してみました。
そしていっぱい試作品を持ってきてくれました!
その後試作を重ねて、先日かなり良い感じの細截除鉗子をもってきてくれました。
重視したのは、新しい形の鉗子ではなく、「既存の鉗子で、質の良いもの」ということです。
今回はその中から、多くの耳鼻科医が困っていると思われる「細截除鉗子(上向)」に関して述べたいと思います。

試作品1 シャフトひねり

試作品1号の細截除鉗子(上向)。
細く作るためにシャフトに「ひねり」入れたバージョン。
一見よさそうに見えましたが、実際手術で使ってみると「骨に負ける」。
剛性が足らないと感じました。
特に蝶形骨洞の処理の時に明らかに骨に負けます。
使えなくはありませんが、こちらが力をこめないと骨を除去できません。
鉗子がつぶれそうです。
このバージョンでは、鉗子を細く作ることに拘り、シャフトを止めるネジをなくすため「ひねり」を加えています(ネジ穴が不要になります)。
シャフトが細くなるため、先端の切除する部分も細くなり剛性が足らなくなっているのではないか?と推察しました。
試作品2 シャフトネジ止め

そもそも、そんなに細くする必要があるのか?という素朴な疑問があり、「ひねり」をやめてネジ止めのバージョンで作っていただいたのがこちら。
ネジ止めでもそんなに太くありません。少なくとも私は手術中に全く太いと感じませんでした。
シャフトが太くなってヒンジの部分がしっかり作れるため、剛性も試作品1に比べると高くなっているはずですが、、、
実際に使ってみると剛性は足らず、骨に負けます。
試作品3 シャフトネジ止め+先端短く


そして、これがネジ止めで、しかも先端を短くしたバージョンです。
これは「使えます!」、先端を短くしただけなのですが、骨に負けません。
チップの長さだけでこれだけ使い勝手が変わるとは思っていませんでした。
短くすることで力が伝達しやすくなったのだと思います。
もちろんブラッシュすればさらに良くなると思いますが、このままでも発売できるレベルと感じました。
まとめ
多くのオペレーターから、この「上向き細截除鉗子」の質の低下を嘆く声を聞いてきました。
新品の上向き細截除鉗子が手元にあることに感動。
須田さんの鉗子への思い、職人技に心を打たれました。
先日大阪で開催された短期滞在手術研究会でもブースを持たれて大好評だったそうです。
そりゃそうです。
ロゴもいい感じじゃないでしょうか。
気になる他の鉗子もまたレビューいたします。

院長 金子敏彦(かねこ としひこ)