皆様、遅ればせながら明けましておめでとうございます。
2024年が始まりました。今年9月で金子耳鼻咽喉科は開院10周年を迎えます。
一つの区切かと思います。頑張ります。
さてさて今年初めのブログ更新ということで、昨年の雑感をまとめてみました。
COVID-19前後で耳鼻科は変わったか?
新型コロナウイルスが2023年5月から5類感染症になり、世の中の動きが活発化しました。
街中にも外国人旅行者があふれかえるようになりました。
手術を決める患者さんも増えてきた印象です。
日常生活においてもコロナ流行前後での世の中の変化を感じることも多いですね。
さて医療現場はコロナ前後で変わったでしょうか?
完全予約制は普及したか?
コロナ前より増えたが思ったほどではない。耳鼻科においてはまだ少数派。
よく知人から問い合わせは受けますが導入に至らず、今まで通りの順番予約制のままのケースも多いです。
完全予約制でなければ専門性の高い医療は難しいと私は感じています。
クレジットカードの普及は?
世の中は一気にキャッシュレス化が進みましたが、医療機関では思ったより増えていない。
導入の進まない主たる理由は手数料だとか。
厳しい言葉になりますが、それは医療機関が時代遅れ。そしてセコイ。
金子耳鼻咽喉科ではクレジットカード、電子マネーには対応しています。
QRコード決済はレジとの連動ができない為、導入できていません。
決済業者からは対応予定と聞いています。今年実現したらいいですね。
PayPayが使えたら当院のキャッシュレス化率はグンと上がりそうな予感がします。
耳鼻咽喉科医療自体の変革
コロナで患者さんの受診が一気に減ったのが耳鼻科、小児科です。
ここでは多くを語りませんが、耳鼻咽喉科業界全体で(例えば学会主導で)診断する耳鼻咽喉科医療に舵を切るか期待しましたが、あまり変わりませんでした。
Covid-19という劇薬をもってしても変化がなかったので、私は耳鼻咽喉科の将来に少々悲観的です。
昔ながらの・・・は日々進化する医療においては通用しないと思うのです。
諸手続きのオンライン化
かなり進んだのではないでしょうか?
判子不要の手続きが増えたのが大きいかもしれません。
今年は後に述べるように健康保険証のマイナンバーカード一本化、電子処方箋、難病認定とオンライン関係の変革が目白押しです。便利になることを期待しています。
医師というより経営者の立場からになりますが、eGOVの改革を希望します。
eGOVで厚生年金保険・健康保険の手続き等がオンラインでできるのはありがたいですが、入力フォームが紙の用紙をそのまま張り付けたようなものです。
もっとユーザーフレンドリーなフォームで、送信前に内容をある程度チェックしてくれるシステムであって欲しいものです。
医薬品がない?!
昨年は「薬の在庫がありません」ということが多かったです。
これまでも救急医療に必要な薬剤の出荷制限はありましたが、昨年ほどの状況は過去に経験したことがありません。
抗菌剤、アレルギー薬、咳止め、解熱鎮痛剤など。
4%キシロカインという耳鼻科医療に欠かせない表面麻酔の薬も出荷制限がかかりました。
これらの問題に関して、厚生労働省で「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」で議論が重ねられています。
資料によると出荷制限は全医薬品の約24%とあり、思ったより多い印象です。
「令和2年末以降に発生した後発医薬品メーカーによる薬機法違反事案を端緒として」と記載があり実際そうなのでしょう。
医療費抑制のため後発品(ジェネリック)を推奨した国の政策の問題!と糾弾する声も聞きますが、それほど単純化できる話ではなく全てを国の政策の責任に押し付けるのはどうかと思います。
政治的な話はさておき、様々な要因で需要と供給のバランスが悪くなっている事は間違いありません。
厚労省の資料を読んでみると出荷制限の理由として「需要減」もかなり多い。要するにニーズがなくなった薬の製造を休止しているのも含まれています。
そもそも不要な処方が多すぎるのではないか?とう根本的な問題を考える必要があるのはないでしょうか。
処方箋を出す医師側の問題。治療を求める患者側の問題。双方共考える必要があるかと。
私は「病気の本質はシンプルである」という治療哲学を持っています。検査をするのはその為で、診断が決まれば薬もシンプルになります。
患者さんの立場からは、なぜこの薬を飲んでいるのか?その薬は本当に必要なのか?いや、その治療自体が本当に必要なのか?を考えなくてはならないかと。
今回の「薬がない」騒動も結果的には何とかなっているケースの方が圧倒的に多いと思われます。
それならその薬(その医療)はそもそも不要だったのかもしれません。
インターネット時代になり情報はあふれかえっています。医療に関しても間違ったことが書かれているページも多く気を付けないと容易に騙されてしまいます。
正しい情報を見抜く能力・知識が求められる時代とは言われますが、簡単ではないですね。
診療体制を見直した
Covid-19が猛威を振るっていた間は手術を原則1日1件にしていましたが、少々落ち着き始めたくらいから1日2件出来るように体制を整えました。
そのため私自身は手術日(月・火・金)は、午前診察→手術→午後診察と休みなく働いています。
その分2023年4月から水曜日の手術・午後診察をやめて、午前診察のみに変更しました。
仕事と休みのメリハリがついた感じがします。
結果、手術数は昨年はかなり増えて延べで1200を越えました。
※延べ数なので手術患者数ではありません。1回の手術に複数の手術術式が含まれますので、その点はお間違えのないように。
大物の手術機材の購入はしていませんが、1日2件の手術に対応できるように鋼製小物やバイポーラ等を買い足して機械の充実を図りました。
学術活動
学会・研究会もCovid-19が明けて活発化してきました。
研究会で何回か発表する機会がありました。
一番まとめるのが大変だったのは生物学的製剤デュピクセントに関する発表です。
呼吸器内科の先生方との診診連携の一環での発表です。
大阪の診療所でのデュピクセント使用患者数が金子耳鼻咽喉科が一番多いらしく、私にお鉢が回ってきました。
発表にご興味ある耳鼻科・呼吸器の先生がおられましたら、またお声がけくださいませ。
ほんのちょっと内容をお伝えしますと、当院の全患者さんの1.1%が好酸球性副鼻腔炎でした。かなり多いですね。
学会で発表しようかな?
- 金子耳鼻咽喉科の全患者数 20,479名
- 好酸球性副鼻腔炎の患者数 221名(1.1%)
- 好酸球性副鼻腔炎の難病認定をした患者数 97名
- デュピクセントを導入した患者数 53名
今年大きく変わる事
医院の運営に関しては、今年は色々変わりそうです。
健康保険証の廃止、マイナンバーカードへ一本化
2024年12月2日月曜日から施行することが閣議決定しています。
最大1年の猶予があるそうです。
すでに当院はオンライン資格認証・マイナンバーカードに対応しています。
お使いいただけるのでお試しください。
転職などで健康保険証が手元にない方でも、マイナンバーだけで保険証の資格認証ができるケースも経験しています。うまく稼働すれば便利だと思います。
私自身も医療機関を受診するときはマイナンバーカードを使っています。
電子処方箋
健康保険証のマイナンバーカード一本化、電子処方箋両方がうまく機能すればけっこう便利になるんじゃないかな?という予感がしています。
全国的に一応運用自体は始まっていますがまだまだ普及していません。
金子耳鼻咽喉科は対応すべく登録はしていますが、まだ電子カルテが電子処方箋に対応していません。
「早い人ははじめてる」と厚労省のページに書いてありますが、私はこの手の事には「かなり早い人」ですが電子カルテの未対応の為どうしようもありません。少々お待ちくださいませ。
診療所が対応しても薬局が対応していないと意味がありません。
リンクをたどって電子処方箋に対応している医療機関数(2024年1月14日時点)を見てみると。
大阪府においては、病院3、診療所68、薬局946。
金子耳鼻咽喉科近くの薬局もボチボチ対応しています。これなら何とかなりそうです。
指定難病データベースのオンライン化
指定難病の診断書オンライン化が2024年4月から始まる予定です。
現在は診断書を紙でお渡しして地区の保健福祉センターに持参していただいています(阿倍野区は区役所内に併設)。
オンライン申請を具体的にどのようにやるのか見たことがないので、まだまったくわかりません。
金子耳鼻咽喉科オンライン化できるように手続きは済ませていますので順調にいけば、4月以降にご案内できると思います。
前述のように金子耳鼻咽喉科では好酸球性副鼻腔炎(指定難病)の患者さんが全体の1.1%もおられます。
患者さんと医療機関双方にとって利便性の高いシステムであることを期待しています。
まとめ
以上、長いブログになってしまいました。
ここまで読んでくださった(読めた)方、ありがとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
院長 金子敏彦(かねこ としひこ)