nose_basic_hammer

硬い骨を除去する際に、鑿(のみ)と槌(つち)をよく用います。今回は鼻の手術でよく使う槌(ハンマー)の話です。鼻の手術での定番は叩部(こうぶ)がナイロンのものです(上記写真:黄色〇)。衝撃を吸収する目的のナイロンですが、オートクレーブ滅菌をかけているうちに劣化して(縮んで)スカスカになってきます。それほど長持ちせず、その度に修理代がかかってしまいます。

スカスカになってきつつあるナイロン部

修理の手間が不要なハンマーはないかと探していたところ、ちょっと素敵なのを発見しました。
主に整形外科で使われているのかな?叩部まですべてステンレスの「ミズホのステンレスハンマー小」。時にミリ単位以下の繊細な作業が求められる内視鏡下の手術では、小回りの利くこのハンマーは良い感じです。

上:永島医科のナイロンハンマー 下:ミズホのステンレスハンマー

ちょっとマニアックな手術器具になりますが、骨や軟骨を均等に成形する「carl storzのボーンクラッシャー」を使うときは、このハンマーは弱いかなと感じます。軟骨などを伸ばすために思い切り器具を叩く必要がありますが、小さなハンマーだと力は弱いので手腕の振りが大きくなり、ボーンクラッシャーを持つ手が痺れるような時があります。ボーンクラッシャーを使うときは、大きめのハンマーを使った方が良い感じです。この辺は使い分けかなと。

というわけで、幾度となくハンマーのナイロン部を交換することにストレスを感じておられる方は、このミズホのステンレスハンマー小を検討されてみてはいかがでしょうか?

院長 金子敏彦(金子敏彦)